更新日:2025年9月24日
石破茂首相は、戦後80年を迎える節目にあわせて検討を進めてきた先の大戦をめぐる見解について、自民党総裁選が終了する10月中に発表する方向で最終調整に入った。退任目前というタイミングを選び、党内論戦への影響を避ける狙いがある。歴代内閣が示してきた歴史認識を踏襲しつつ、開戦を防げなかった要因に光を当てるとみられる。
石破氏は昨年10月の就任以来、「なぜあの戦争に突き進んでしまったのか。歴史に謙虚に学ぶ必要がある」と繰り返し語ってきた。特に軍部が暴走した経緯を踏まえ、「文民統制の在り方」に問題意識を持つ姿勢は一貫している。今年7月の参院選で与党が大敗を喫して以降も、その意欲は衰えることなく、終戦の日や降伏調印の日に表明する案を見送りながら時機を見定めてきた。
23日にはニューヨークで国連総会の一般討論演説に臨み、「寛容の精神」を訴えた。政府関係者は「80年見解の前触れとなる内容だ」と解説している。右派からは「譲歩」と揶揄される一方で、国際社会の場で日本の姿勢を明確に示した点は評価できる。
ただ、ここで皮肉を込めれば、国内の右派政治家が「歴史を直視せよ」と叫ぶときは過去を矮小化する方向に働きがちだ。石破氏のように「なぜ防げなかったのか」と自問する姿勢は、むしろリベラル的な価値観を帯びる。こうした態度が自民党内で「異質」と見られること自体、党の保守化が極まった証拠かもしれない。
この「なぜ防げなかったのか」という問いは戦争に限られない。格差の拡大、気候変動対策の遅れ、憲法改正論議の硬直化。いずれも「防げたはずのものを放置した」結果が今の現実だ。過去を直視することと同時に、未来に対しても謙虚であるべきではないか。
石破首相が退任直前に発する見解は、単なる歴史談義にとどまらず、現在の政治に欠けている「謙虚さ」を問い直すきっかけになるかもしれない。
出典:共同通信
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