自民党総裁選候補者、スパイ防止法をめぐり真っ二つ

政治

更新日:2025年9月28日

自民党総裁選の候補者5人が27日の討論会で、スパイ防止法の是非について意見を交わした。小林鷹之氏と高市早苗氏は「外勢の脅威に対応するため必要」と強調した一方、茂木敏充氏と林芳正氏は「現時点で不要」と明確に否定。小泉進次郎氏は「国民の自由を考慮し、丁寧に検討すべきだ」と述べ、賛否の間で距離を置いた。

スパイ防止法といえば1985年に廃案となった経緯がある。当時も「国民の監視につながる」と批判が強まり、結局は成立しなかった。40年近い時を経て、再び同じ議題が浮上している点は、日本の安全保障観の変わらなさを映し出している。

候補者の発言からは、それぞれの支持層への配慮も見え隠れする。小林氏や高市氏が「強硬な安全保障」を訴えるのは保守層へのアピールに映り、茂木氏や林氏の「不要」発言は自由や経済重視の層へのメッセージとも受け取れる。小泉氏の「検討」は、結論を急がず支持の幅を広げる計算だろう。

しかし、ここで立ち止まって考えるべきなのは「本当に国民の自由と安全はトレードオフなのか?」という点だ。スパイ防止を口実に監視社会化が進めば、自由な言論や市民活動に萎縮効果をもたらす可能性は高い。1985年の廃案時と同じ警鐘が、再び聞こえてきそうだ。

日本の憲法は「思想・良心の自由」を保障している。もしスパイ防止の名目で調査・監視が強化されれば、結果的に憲法が形骸化し、市民の権利は大きく削がれる恐れがある。戦時中の治安維持法を想起する人も少なくないだろう。自由を守るはずの政治家が「自由より安全」を選ぶ姿勢は、果たして健全と言えるのか。

今回の討論会は、単なる総裁選の一幕ではなく、日本が「監視国家」へ進むのか、それとも「自由と民主主義」を堅持するのかの分岐点を象徴している。結局のところ問われているのは、政治家ではなく有権者の選択である。

出典:日本経済新聞/Xポストまとめ

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