小泉進次郎氏、郵便局への国費支援に前向き 「父の民営化」からの転換点か

政治

更新日:2025年9月27日

小泉進次郎農相は27日、都内で郵便局長らとの意見交換会に出席し、郵便局ネットワークを国費で支援する案について「否定せず前向きに何ができるかを考えたい」と記者団に述べた。地域の疲弊を背景に、郵便局を「地域を守る核」と位置づける発言は、党総裁選を控えた中での支持拡大戦略とも受け止められている。

自民党は先の通常国会で、公明党や国民民主党とともに郵政民営化法改正案を提出し、郵便局を国費支援対象とする方向性を示していた。法案は継続審議となったが、小泉氏は「幅広く国会状況をみながら対応を考える」として、野党の出方を見極める姿勢を示した。

注目されたのは父・小泉純一郎元首相への言及である。かつて「郵政民営化」を政権の目玉とし、「びた一文譲らない」と強硬に推し進めた純一郎氏に対し、進次郎氏は「父がやったことだから変えさせないという姿勢では一致団結できない」と距離を置いた。時代の変化を理由に「見直すことが出てくれば見直す」と述べ、親子間での政治的スタンスの差を強調した。

だが皮肉にも、こうした発言は「地域を守る」のではなく「疲弊する地域を利用する」思惑と重なる。総裁選で党員票を左右する「職域票」への配慮が透けて見え、郵便局が住民の暮らしを支える拠点というより、政争の道具と化している印象を与える。

思えば日本の政治は「民営化」や「改革」という言葉を魔法のように使い、結局は格差を拡大してきた。郵便局を守るとしながら、金融商品や人員削減で地域は弱体化し、今になって「国費支援」が持ち出される。これは地域再生ではなく、制度疲労のツケを国民に押し付ける方便に過ぎないのではないか。

もしこの構図を日本全体に置き換えれば、戦後の「民営化万能論」と同じ轍を踏んでいることになる。憲法や安保にしても、時代の変化を口実に都合のよい部分だけを改定し、国民の声は後回しにされがちだ。政治の継承が「親から子」ではなく「古い発想から新しい発想」へと切り替わらなければ、疲弊するのは結局、地域社会そのものである。

今回の進次郎氏の発言は、郵便局を守るかどうか以上に「政治が誰のためにあるのか」という問いを突きつけている。

出典:日本経済新聞

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