トランプ氏、首都ワシントンに国家非常事態を宣言 連邦化の表明が映す民主主義の危うさ

国際、国際政治

更新日:2025年9月15日

トランプ米大統領は15日、首都ワシントンに国家非常事態を宣言し、連邦化すると表明しました。背景には、バウザー市長が警察に対し移民・税関捜査局(ICE)との協力を拒む発言をしたことがあり、移民政策をめぐる対立が一層先鋭化しています。

問題となっているのは、不法滞在や不法入国者の情報提供です。すでに2,000人以上の兵士が市内を巡回しており、連邦政府による越権行為だと批判する声が高まっています。トランプ氏は8月にも「法と秩序の回復」を理由に州兵を派遣し、市内では数千人規模のデモが続いています。

トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「犯罪は事実上ゼロになった」と誇示しましたが、現実には治安回復の評価は分かれており、市民社会との摩擦を深めています。首都警察を連邦政府の指揮下に置き、ICE職員を含む連邦法執行官を街頭に派遣している状況は、もはや「非常事態の常態化」とも言えます。

この事態は単なる米国内の問題にとどまりません。権力が「安全保障」を口実に自治体を抑え込む構図は、世界各国で繰り返されてきました。民主主義の名の下に、権限が中央に集中していく危うさが露わになっています。自由を守るはずの制度が、恐怖を前提に動き出すとき、人々は「支配される安心」と「自治の自由」の間で揺れ動くのです。

日本に置き換えて考えれば、憲法改正論議でしばしば俎上に載る「緊急事態条項」が思い浮かびます。もし政府が同様の権限を持つならば、災害や有事の名目で自治体や国民の権利が一時的に停止される可能性も否定できません。権力者の判断一つで「自由」が封じ込められる危うさは、決して遠い世界の話ではないのです。

ワシントンの非常事態宣言は、トランプ氏個人の強権政治を映すだけでなく、現代民主主義の脆さそのものを突きつけています。

出典:ロイター

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